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鹿沼 旧市街の道 その2
前回の記事からの続きです。
旧市街の道、交差点に見られる特徴は何でしょうか、というお話です。

それは、

十字路が極端に少ないということです。
道が4方から集まる、十字路になりそうなところも、
微妙にズラしたりして十字路を避けています。
十字路が少ないということは、どういうことでしょうか。

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写真は、同じ交差点(下横町)の区画整理前後の様子を写したものです。
左は十字路でなかった区画整理前、右は十字路に修正された区画整理後。

十字路でなかった頃は、視線が正面の商店にぶつかり、
歩行者に視覚的特徴を認知させるので、結果としてそこが町の要所になります。

一方、十字路になると、どこから来ても同じような風景になるため、
特徴のない、要所とならない、ただの通過的箇所の一つになってしまうのが分かります。

近年、特徴のない閑散とした都市風景になってしまった旧市街の背景には、
効率的に自動車交通を処理するための十字路を多用する都市整備があるのです。

この他にも、非十字路の優れた効用はたくさんあります。
そちらは是非、鹿沼市立図書館で閲覧してみてください。
図書館ウェブサイトの図書検索にて「鹿沼市旧市街」などのキーワードでヒットします。
今すぐお読みいただける概要版はこちらからどうぞ。

)区画整理前の写真は、小室均氏から提供していただきました。
by nabe_tk | 2009-03-29 23:26
鹿沼市 旧市街の道 その1
毎度お知らせしています通り、拙著『鹿沼市旧市街における歴史的生活環境に関する研究』の概要版がこちらよりお読みいただけます。
ぜひ、パラパラっとめくってみてください。
そしてそれを手に旧市街を歩いてみてください。
この論文は「研究」というより、鹿沼の魅力が詰まった「ガイドブック」です。

では、中身を少しだけ紹介します。
下の図は、旧市街の道路構成と、交差点を強調して示した図です。

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交差点の様子にある特徴があります。
どんな特徴でしょうか。
次の記事までの宿題です。
by nabe_tk | 2009-03-28 23:20
コンパクトシティ
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今、自転車に大きな魅力を感じています。

旧市街を回るには、圧倒的に自転車移動が便利です。
路地が入組む旧市街の通りは、道幅は広いのですが信号が多く、
自動車はあっちでこっちで停止を余儀なくされますが、
自転車ではその路地を自由に走り抜け、あっという間に目的地に到達です。
しかも、路地には豊かな植栽や洗濯物が顔を出し、
移動中にも目を楽しませてくれるというオプション付き。

自転車が適しているというのは、旧市街の範囲にも大きく起因しています。
鹿沼市旧市街は一般に、北は泉町辺りから、南は鳥居跡町辺りを指しますが、
その範囲の直径は約1.5kmに収まっています。
すなわち、約1.5kmの範囲内に八百屋や魚屋、居酒屋、本屋、役所、など、
生活に必要なものが収まっているということ。

1.5kmという距離は、歩けば約20〜30分、自転車ならば5〜10分程。
不便のない、とっても心地よい距離感です。
こういう距離感は、晃望台など、新興地にはありません。
なぜならば、新興地は自動車の尺度で町が形成されるからです。
その点、歴史の古い旧市街は、歩行の尺度でつくられていますので、
小さい範囲で町場が完結しているのです。

これを最近では、「コンパクトシティ」と呼び、
町づくりの新しい考え方として見直され始めています。
鹿沼市旧市街の大きな特徴、コンパクトシティ。
是非、歩き、自転車でその心地よさを体験してください。
by nabe_tk | 2009-03-27 19:46
鶴は千年、亀は万年
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上棟式の際、鬼門の方角に向けて棟木に取り付けられる破魔矢です。
棟梁によって描かれた亀。
鶴も用意されますが、そちらは棟梁が持ち帰るのが習わしだそうです。
解体作業も亀が最後まで見守ります。
by nabe_tk | 2009-03-26 15:47
一つ残らず丁寧に取り外します
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旧山野井本店解体現場より。
今回は、解体を引き受ける大工棟梁の多大なるご理解もあり、
ほとんどの部材を手作業で取り外し、保存活用することになっています。

このことを聞いたある方が、
「これで先代の意思は引継がれるね」
と、建主だった先代の山野井氏の深い教養に触れたとき、
この旧山野井本店に関わることのできた重みがずしんと増しました。
by nabe_tk | 2009-03-22 23:08
東京からでなく、地方から大きな流れへ
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本日(2009年3月20日)付の下野新聞朝刊(ウェブサイト版はこちら)に、
拙著『鹿沼旧市街の歴史的生活環境に関する研究』に関する記事が掲載されました。
下野新聞社の臼井さん、本当にありがとうございました。

そして、同紙には旧今市市の旧下小代駅舎が、
文化庁による登録文化財に登録されたことが報じられています。
これは、いわゆる建築的価値(使用材料の高価さ希有さ、技術の精巧さなど)
を持たない建築は貴重な文化財とは言えないんじゃない?という一種の誤解に対し、
建築の一番の価値は、地元の人たちに地道に大事にされてきたという事実だ、
という本質を社会に示してくれた嬉しい例だと思っています。
本当に嬉しい。

今日も昨日に引き続き旧山野井本店の解体準備が行われましたが、
作業中、何人もの地元の方、遠方からの方、関係者の方々が庭に集まってきます。
思い出話で盛り上がり、お茶を飲む春のひと時は、
集まって暮らすことの豊かさをハッと感じさせられます。
建物は、人々の触れ合いを大きく受け止めてくれる町の資産。
旧山野井本店の、目に見える建築的価値だけでなく、
目に見えない価値に目が向けられることを改めて望みます。
by nabe_tk | 2009-03-20 20:53
解体工事、始まっています
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一人当りの自動車保有率全国ナンバーワンと言われる栃木県。
自動車に頼った生活は、近年、道路拡幅を急速に進ませ、
つい先日も鹿沼街道の旧市街への延長が完了しました。
各種報道では、旧市街への経済的効果と他地域との接続が望まれると報じられましたが、
そうとは一概に言えないでしょう。

車はさらっと通り過ぎてしまうだけ。
道路整備がまちづくりの重要な位置を担うという考えは、余りにも短絡的です。
旧市街の閑散さはこれからも自動車中心の都市整備によって急速に進んでしまいそう。

そして、

道路整備による利便性向上の裏には、
接道住居がお金で強制的に退去移転させられていく事実もあります。
それはそれは途方もない労力と精神的負担を、
車とはほとんど縁のない高齢者に対し強いているのです。

ついに、下材木町の名家・旧山野井本店は解体作業に入りました。
by nabe_tk | 2009-03-19 07:22
鹿沼に帰りました
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道を渡ろうと立ち止まると、車が止まって譲ってくれるのは気持ちがいいものです。
クラクションなんて一度も聞きませんでした。
住み良いまちづくりとは、結局は人の問題、ひとづくりでしょうか。
フィンランド人は心が豊かです。
by nabe_tk | 2009-03-14 20:39
13日に戻ります
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桟を吹き寄せ、板の角度を変えて、とてもリズミカル。動きがあります。凝ってる。

明日から箱根、横浜、ヘルシンキに出張してまいります。
しばしお待ちを。
by nabe_tk | 2009-03-04 01:17
実測
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古い建物を実測し、図面に起していく作業は、
単に歴史的記録としての資料となるだけに留まらず、
何代にもかけて育まれた建築への一つの解を読み取ることでもあり、
それは自分がいざ建築設計の道に進もうとするときの大きな助けになります。

建築の形態に大きく関わる日射の具合、雨対策、土地の条件などは、
その場所、その敷地によって異なるので、
その都度検討を行わなければなりませんが、
過去の大工たちがどのようにそれらを解決してきたのかを測ることは、
古い建物が消えていく今、とても大切な作業であると思います。

これらの系譜とは大きくずれ、
住宅メーカーが供給する「売り方」しか考えない住宅と
「どう住むか」を何代にも培った古い住宅、
どちらが「家」になり得るかは言うまでもありません。
by nabe_tk | 2009-03-01 14:16