拝啓 クリーニング店主人さま
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戦後期、左官壁建築のクリーニング店。
通りに開いた水平連窓からは、
年季の入ったアイロンやスチーム機、主人の引取を待つシャツたちが並ぶ。
その中にあって、いつも僕の目を引く存在、
主人が座るであろう作業台の上に、何気なく積まれた文庫本、数冊。
おそらく何度も読み返されたであろうくたびれ加減。
何の変哲もない風景、けどしかし、
そこからは通りを歩く人、少なくとも僕の心にはある勝ってな物語を想起させる。
主人は、昇る太陽を受けこの愛読書を開く朝を愛しているに違いない。
仕事も丁寧で穏やかな人だ、きっと。
町は、こんな物語の想起点で溢れていたならば、豊かだ。
by NABE_TK | 2011-12-20 21:53
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