約140年
現在、仲町の通り沿いで古い町家の取壊し作業が進められています。10月21日現在では、通りに面していた店部分の解体が終了し、裏手にある土蔵の解体に着手しようとしている段階と推測されます。
一枚目の写真は去年8月に撮影した店部分です。

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表の一部に白タイルの増築部分が取り付いていますが、その内側には土蔵造りの町家が確認できます。
そして2番目の写真が今年10月13日に撮影した取壊し途中の写真です。

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通り沿いの店部分が姿を消し、その後ろに金木犀や杉の生い茂っている様子が分かります。
最後に、今日10月21日の様子が3枚目。

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植栽が取り除かれ、それまで見えなかった2階建ての土蔵が姿を現しました。江戸後期の建築と推測されます。約140年もの間、この場所に建ち続けているのです。江戸後期というと、鹿沼の旧市街に現存する建築の中でも最も古い部類に入ります。
そんな建物が今、まちから消えようとしています。

「人間は自分の存在を確かめるために、町や建物、風景、生涯の間に変わらないもの・そこに在り続けるものと自身を対比させている」

という言葉があります。昔の建物は今回の物件のように、人間の寿命の80歳を余裕で越え、140年くらい軽く保ちます。そんな優れた建物、町並み、風景の中で生きていた人たちは、生涯、自分の中の変わらない風景として心に持っていたに違いありません。

今はどうでしょうか。
現在の建物(木造)の寿命は約30年と言われていて、当然のように町並みは目まぐるしく変化します。離れて暮らしていた人が久しぶりに地元に戻ってみたら、まったく違う風景だった、というのはあまりに悲しいことです。地元を離れて暮らしていても、「変わらない風景」として心に持っていることは自分の存在を確認するために必要なことだと思います。

まちにとって、「何か変わらないもの」を保っていくことは、とても重要なことのように思うのです。
by nabe_tk | 2007-10-21 22:27
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